Webページがブラウザに表示されるまでの仕組み
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Webページがブラウザに表示されるまでの仕組み
ブラウザにURLを入力してからページが表示されるまで、裏側では複雑な処理が瞬時に実行されている。この一連の流れを理解することで、Webアプリケーションの性能改善やトラブルシューティングに役立つ知識が身につく。
全体の流れ
- URLの解析
- キャッシュの確認
- DNS解決
- サーバーへの接続
- HTTPリクエストの送信
- サーバー側の処理
- HTTPレスポンスの受信
- レンダリング
1. URLの解析
ブラウザはまず、入力されたURLを構成要素に分解する。
https://example.com/api/users
- プロトコル: https(通信方式)
- ドメイン: example.com(サーバーの識別名)
- パス: /api/users(サーバー内のリソース位置)
2. キャッシュの確認
ブラウザは過去に取得した情報をキャッシュに保存している。同じドメインへのアクセス履歴があれば、DNS解決をスキップできる。
キャッシュの種類
- ブラウザキャッシュ
- OSキャッシュ
- ルーターキャッシュ
3. DNS解決
ドメイン名をIPアドレスに変換する処理だ。コンピューターは数字でしか通信できないため、この変換が必要になる。
DNS解決の流れ
- ローカルキャッシュを確認
- ISPのDNSサーバーに問い合わせ
- ルートDNSサーバーから順次問い合わせ
- 権威DNSサーバーから最終的なIPアドレスを取得
例:example.com → 93.184.216.34
4. サーバーへの接続
TCP接続の確立
IPアドレスが判明したら、3ウェイハンドシェイクでTCP接続を確立する。
- SYN(接続要求)
- SYN-ACK(接続受諾)
- ACK(確認)
ポート番号の指定
- HTTP: 80番ポート
- HTTPS: 443番ポート
サーバー内の特定のサービスにアクセスするための「部屋番号」のような役割を果たす。
5. HTTPリクエストの送信
リクエストの構成
GET /api/users HTTP/1.1
Host: example.com
User-Agent: Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64)
Accept: text/html,application/xhtml+xml
Connection: keep-alive
- リクエストライン: メソッド、パス、HTTPバージョン
- ヘッダー: 追加情報(ブラウザ情報、受け入れ可能なコンテンツタイプなど)
- メッセージボディ: POSTリクエストの場合のデータ
6. サーバー側の処理
ロードバランサー
大規模なサービスでは、複数のサーバーにリクエストを分散する。
アプリケーションサーバー
- ルーティング処理
- ビジネスロジック実行
- データベースアクセス
- HTMLの生成
7. HTTPレスポンスの受信
レスポンスの構成
HTTP/1.1 200 OK
Content-Type: text/html; charset=UTF-8
Content-Length: 12345
Cache-Control: max-age=3600
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>Example Site</title>
</head>
- ステータスライン: HTTPバージョン、ステータスコード、理由句
- ヘッダー: コンテンツタイプ、サイズ、キャッシュ情報など
- メッセージボディ: HTML、CSS、JavaScript
8. レンダリング
ブラウザでの処理段階
ローディング HTMLファイルのダウンロードと解析。CSSやJavaScriptファイルの並行ダウンロードも開始される。
スクリプティング JavaScriptの実行。DOM操作やイベントリスナーの登録が行われる。
レンダリング
- DOMツリーの構築
- CSSOMツリーの構築
- レンダーツリーの作成
- レイアウト計算
ペインティング 実際の画面への描画処理。
パフォーマンスに影響する要素
DNS解決時間
- CDNの活用
- DNS prefetchの設定
サーバーレスポンス時間
- データベースクエリの最適化
- キャッシュの活用
- サーバーサイドレンダリングの検討
レンダリング性能
- CSSの最適化
- JavaScriptの非同期読み込み
- 画像の最適化
開発時の活用
この流れを理解していると、以下の場面で役立つ:
- 性能問題の特定: どの段階がボトルネックかを判断
- SEO対策: クローラーの動作を考慮した実装
- セキュリティ対策: 各段階での脆弱性を理解
- キャッシュ戦略: 適切なキャッシュ設定の選択
実際のデバッグでの応用
ブラウザの開発者ツールを使って、各段階の処理時間を確認できる。
- Network タブ: DNS解決、接続、レスポンス時間
- Performance タブ: レンダリング処理の詳細
- Console タブ: JavaScript実行時のエラー
これらの情報を元に、どの段階に問題があるかを特定し、適切な改善策を講じることができる。